0427


仕事を辞めてから記憶力が落ちて、

覚えることも思い出すことも前より難しくなった

だから写真を前よりも撮るようにしてみている

そのときその場で発した言葉や感情の真正性が損なわれないように



メニュー表を見上げる目と首

果実感の深いカジュアルなワイン

久しぶりに彼女と会えた安堵




原宿の疎と密、かき分け続ける人、人間

規則的に植樹された街路樹でさえ自然な [natural, native]「装飾」

でもそうされたみんなもちゃんと俺を安心させてくれている



彼女の家の最寄駅近くで買ったバナナケーキマフィン的なもの

分け合って食べた、とてもおいしかった



4月20日の夜、この一年で一番楽な呼吸を取ることができた

右上の窓から流れ込む甘く冷たいミストのような酸素が肺を満たした

脳の蒸れた隙間に心地よく吹き込むような感覚

世界と体がシンプルに繋がりあう、これまでにないほど

肺の異物をいつの間にか丸ごとこそぎとられていたかのような




だからその次の日、車を借りて、元々住んでた北綾瀬駅近くに新しくできた商業施設に行き、

フードコート脇で食べたカプリチョーザが、本当においしかった

他の誰かじゃなくて、ちゃんと自分がここにいるんだと感じた

他人事でない世界感覚がきちんとあった




一人でシーシャ屋に行くのも、二人が大好きな立ち飲み屋に行くのも、

それらすべてにおけるあのときのすっきりとした喜びが、いくらだってこちら側にまだ存在していて、

それは何度でも握り返すことができる

世界から手は差し伸べられている






2026



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