0504

俺が、広島で、正社員になって、実家で暮らすなんて、本当に、一ミリたりとも思っていなかった
広島以外のどこかで、非正規労働者として、一人暮らしをしている自分しか、本当に描いていなかった

働き始めて一ヶ月が経つ
月のほとんどの時間を過ごすあの店で、働かないかと言ってもらえたこと、
一年前の一月、わざわざ東京まで出向いてくれて、自分に正式なオファーをくれたこと、
この会社で、正社員が4人しかいない集団で、地に足のついた呼吸ができていること、
その全てが、あまりにも非連続的で、やはりわたしたちは、完全に繋がった整合性など持ち合わせていないのだと、思う

ただ、今のパートナーとの生活に限って言えば、すべては繋がっている
彼女の苦しみと、自分の苦しみは繋がっているし、幸せも同じように、
同じ地平のあらゆるポイントに点在する互いの記憶が、一つの環境として並存し、ただの構造ではない呼応の連続として、
常に変化し続ける私たちとして、まとまった身体となっているような感覚

それには、信頼という強固な紐帯が必要で、
そんなものを俺が誰かと作り上げられるなんて思っていなかったけど、
離れていてもその距離によってむしろその結び目が固く絞められていくようで、
それがあまりにも、嬉しい

それが嬉しいなんて、それすら、思っていなかった
強く繋がれば繋がるほど、鬱血していくように思えて、
返しのついた針を引き抜けば、この縛りは解け、いずれ傷は癒えるだろうというような、
そんな気持ちで人々と関わっていたような気がする

誰かと繋がるということが、自分の体に鋭利なものを刺し込むことではなくて、
思い出という広い空間の中に一つ一つ何かを置いていくことなのだと思える今は、
かけがえのない、ありがたいものだと、心から思う

2024



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